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□ 内田洋行「Drawing Sharp D」

 2200円でクラシックスタイルと回転繰り出し式を満喫できます。

内田洋行「Drawing Sharp D」

 1972年発売ということで、現代の新製品ではなかなか見ないくらいの形が印象的な「Drawing Sharp D」。印象的なのは形だけではなく、機構も回転繰り出し式。回転繰り出し式と聞くと昔を懐かしむ方がいらっしゃるのと同時に、なじみが薄い方もきっと多いところでしょう。

回転繰り出し

 「回転繰り出し式」はその名の通り軸を回転して芯を繰り出す方式のことで、シャープペン初期の時代によく採用されてた方式です。ノック式がデジタル時計なら回転繰り出し式はアナログ時計。軸を回すと芯がタケノコのようにニョキニョキと無段階的に繰り出されます。時計回りに1回転するとおよそ6.5mm。1/6回転ほどで十分な芯が繰り出されることでしょう。

 芯を繰り出す時に軸を回転させるアクションが必要になるため、「すぐ芯が出せる」という意味での機動性は「回す」よりも「押す」という単純な動作に頼るノック式が有利です。そのおかげですっかりお株を奪われてしまった印象が強い回転繰り出し式ですが、「構造がシンプルなので安定性が高い」「芯の微調整が行いやすい」「ノック式特有のカチカチ音が出ない」などなどクラシックスタイルならではの良い面を忘れてはいけません。繰り出しに高い精度を求める方、ノック音によるストレスを感じる方、あるいは回すことに生きがいを感じている方に…。職人は何も言わず仕事をこなすのです。

六角形のリング

 グリップには横に溝が刻まれています。ローレット加工とは言ってもさほどガリガリした感じはなく、製図用シャープ特有の固さを意識せずに使えるのも良いところ。ノック式感覚で外れそうにカモフラージュされたキャップには「あれ?」と思わされても、クリップがちゃんと外せるところはさすが本格派。六角形のリングの転がり防止も工夫されているので、狭い机でも安心感があります。

 軸中央部(金パーツと黒パーツの間)が回転の基点となっているため、好みによってさまざまな芯の繰り出し方が考えられます。片手で軸の下半分を持って親指と人差し指で回したり、片手は筆記姿勢のまま反対側の手で回したり、上下逆にしてペン先を見ながら回すじっくり派の方もいることでしょう。気分転換を兼ねて、いろんな回し方を試してみるのも楽しいかもしれません。

消しゴム付き

 それでは、回すシャープペンの世界でお待ちしています。

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