子どもの頃から定規はクツワというイメージがありまして、直定規は16cm、20cm、30cm、40cm、50cm。三角定規は10cm、12cm、15cm。そして分度器と一時期の学童用定規全ラインナップを集めたほどです。現在のラインナップはあまり持ってないながらも、未だに頭の中には本格製図用メーカーの定規に勝るほどの想いが残っていて、個人的にはステッドラーよりも、ロットリングよりも、まずクツワなのです。
直角を引くのには三角定規、角度を測るのには分度器。1本の直線に垂線を引くには1にコンパス、2に三角定規と学んだハズではありませんか。しかし、今では角度は目検討、枠線引きは方眼の直定規が現実となってしまいました。イマドキの漫画原稿用紙というのはタテヨコに目盛が付いてまして、斜めの計算もラクラク。三角定規の出番すら危ぶまれている今、分度器はますます机の奥の方に追いやられていきます。はたしてこれでいいのでしょうか?
「こんな時代だからこそ、クツワスピリッツを思い起こさねばなりません。」
初めてクツワを知ったのはこの青い分度器「HILINE」でした。青い下地にまばゆいほどの黄色いライン。定規セットといえば透明という先入観があったせいか、この青と黄色の魅力にすっかり取り付かれてしまいました。今思えば、これがクツワスピリッツの始まりです。
何気に流行していたらしく、男子の約半分がこのシリーズで、青いフィルターを通しながら外界を見て遊んでいたような記憶もあります。もっとも、この濃い青のおかげで「下に書いてある文字が見にくい」という話があり、先生達からはあまり歓迎を受けてなかったようなのですが、子どもですもの。そんなことはおかまいなしです。
それからしばらく時が経ち、青い分度器もすっかり姿を消した頃、次に買った分度器は透明に黒と赤の文字が書かれたシンプルなものでした。主な使い道は本来の用途ではなく、そのままぐるりと半円や円弧を描いてみたり、2枚組み合わせて正円を描いてみたりという定規的なものでした。コンパスはまだまだうまく扱えなかったのです。
小学校高学年ともなり、本来の用途で使うためにちゃんとした分度器が必要になるということで、わがまま言ってガタガタの分度器を新調してもらったのがこちら。見た目はあまり変わらないどころか、赤が黒になってグレードダウンした雰囲気すら否めません。しかし、今度はなんと厚みが1.5倍になっていたのです。
「定規セットのうすっぺらと単品がここまで違うとは!」そんながっしり感が小学生のハートをつかんでしまったのでした。まず直定規18cm、次に三角定規、直定規30cm…次々と増えていくファミリー。シンプルで素っ気ないデザインがより肉厚な透明アクリルの美しさをより引き立てます。今でもこのシリーズは忘れられません。
現在の分度器「STAD」を買ってきました。学童用らしからぬ目盛の細かさでスタイルを演出、さらに青い楕円マークによるポップスタイルでわかりやすさも備えています。あの肉厚感もちゃんと引き継がれてました。不良少年の「HILINE」と比べると分度器はマジメに、そして順調に進化しているようにも思えます。
「STAD」も長いので、周期的にはそろそろ大型モデルチェンジがあっても良さそうな気がします。次期モデルチェンジでは順調にマジメ路線の継投か、シンプルに立ち返るのか、それともキバツ系で攻めるのか。クツワさんの次の一手の瞬間まで目が離せません。