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□ 回してノックする多機能ペン

 黒ボールペン+赤ボールペン+シャープペンで1000円。ゼブラ「C2+S」です。

ゼブラ「C2+S」

 多機能ペンは種類が豊富で、低価格でもスライドレバー式、ロータリー式、ノック式など繰り出し方式も多彩です。そんな中、この「C2+S」はクリップを回転させて種類を選び、ノックすることで繰り出すという「選択」「決定」の2段構え方式を採用しています。

ボタン

 ゼブラ「SHARBO」などに代表される一般的なロータリー式なら回転するだけで繰り出すことができるところを、わざわざ2つのステップに分割しているのはなぜなのでしょう?そう聞かれると、ひとつピンと来るのが黒の使用率です。

 多色ボールペンを使っている人の多くは黒ボールペンを使うことが多く、黒リフィルのスペアが本体に内蔵されている多色ボールペンがセーラー万年筆から発売されているほどです。多色ボールペンを使っていながら、気が付いてみると黒インクばかりが減っていく。オフィスにある多機能ペンも黒だけ中身がなくなってしまったまま放置されてしまってるなど、身に覚えのある方も多いのではないでしょうか?

クリップと軸表示

 クリップを回転し、あらかじめ黒を選択しておくことでレバーやクリップの位置、回転方向、傾け…何も考えることなくノックするだけで黒ボールペンを繰り出すことができます。単色ボールペンと同じ速さで胸ポケットから取り出し戦闘態勢に。黒ボールペンを多く使う場合においての機動性が持ち味です。その分、他の色を繰り出す時には不利な面はありますが、使用頻度を考えると持ち味を生かせそうな気がします。2機能よりも、3機能、4機能。機能が多く複雑化した多機能ペンで効果を発揮する機構のように思えます。

三菱鉛筆「BRAIN 3 COLORS (SE-503)」

 三菱鉛筆からは「BRAIN 3 COLORS」という3色ボールペンがありました。こちらも回して色を選び、ノックすることで繰り出すという2段式。色が表示される小窓があるのがデザインとしてもきれいです。「C2+S」はボタンを押して解除するしくみになっていますが、「BRAIN 3 COLORS」の場合は、普通のノック式ボールペンと同じくノックの連続で繰り出し、収納ができます。さらにノックさせたまま回転させることで、普通のロータリー式としても使うことができるのです。エンドレス回転ができない、ノックが硬い、クリップがすぐ曲がってしまいそうなどの難点もありますが、使う側の視点に立った多機能ペンとしては憎めないところがあります。

小窓

 目先の面倒さが災いして避けられてしまったのか、現在このタイプはすっかり見かけなくなってしまいました。メーカーさんとして、使い込まないとわからない便利さをアピールするのはきっと大変なことなのでしょう。持ち味のある機構なだけにもったいないところです。

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