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□ ウッドカラーの鉛筆

 物心ついた頃に、初めて使って慣れ親しんだ筆記具が鉛筆だったからなのか、頭の中にはいまだに「筆記具の基本は鉛筆」という考え方があるらしく、文房具屋さんに行くと、特定の目的がない限り鉛筆売り場に向かって歩き出す傾向があります。

 大きい店に行くと選び切れないくらいの種類があり、色とりどりの軸に心躍らせることも多く、見てるだけでも楽しいのが鉛筆売り場。シックな黒からキャラクターものまで、様々なコスチュームに彩られた鉛筆は「鉛筆を学ぶ、鉛筆から学ぶ」世代の小学生だけではなく、幅広い年齢層から支持を集めていることでしょう。古い鉛筆から新しい鉛筆まで、時代ごとにさまざまな表情を見せてくれるのも魅力の1つです。

 そんな中に、自然素材の雰囲気にこだわった鉛筆があります。

トンボ鉛筆「木物語 2B」

 トンボ鉛筆「木物語」。1本40円。ナチュラルな見た目で、持った感じも一般的な鉛筆の「つるつる」に対してこちらは「さらさら」してます。実は薄いコーティングが施されてるらしいのですが、そう考えても気持ちいいのは感触のあっさりさ。硬度はHB、B、2Bの3種類。他にも消しゴム付きバージョン、色鉛筆があって、選択の幅も広いのがうれしいです。

トンボ鉛筆「4612 B」

 トンボ鉛筆「4612」。こちらはコーティングというよりも、クリア塗装でツルツルと言った方がいいのかもしれません。触感は普通の鉛筆に近いです。残念ながらすでに製造中止なのですが、光沢のあるウッドカラー色合いがきれいな1本で、こういう色合いはめずらしいと思います。反対側には「MADE IN JAPAN H.O.P. PRODUCT "HOMO"」。気になるコピーです。

ファーバーカステル「デッサン用鉛筆 2530N 4B」

 ファーバーカステル「デッサン用鉛筆 2630N」。直径10mm、芯径4mm。鉛筆売り場の中でも数少ない太軸鉛筆の1つです。軸が太いせいか、鉛筆削りで削ると聞き慣れた音とは違った音がします。クラシックな「2530N」という文字の隣に、どんと座っているのはカステルロゴ。ルックスもさすがです。バーコードが邪魔なのが難点ですが、使ってるうちに削れるのでいいかな?

トンボ「Design Pencil」

ホルベイン「SKETCHING PENCIL 4B」

 トンボ鉛筆「Design Pencil」は楕円形で、芯径3mm×6mm。ホルベイン「SKETCHING PENCIL」は丸みの帯びた長方形で、芯径4mm×8.5mm。こちらもデッサン用の鉛筆で、普通の鉛筆とは違った感覚・表現を楽しむことができます。ナイフでサクサク形を作っていくのも特殊サイズ鉛筆の楽しみ。デッサンしない人も話のネタにひとつ、いかがでしょう?

トキワ「うずまきえんぴつ B」

 トキワ「うずまき鉛筆」。鉛筆の持ち方を教える側の体験から考え出されたうずまき状の溝が入っていて、しっかりした鉛筆の持ち方を身につけやすくなってるという、ちょっとしたアイデア鉛筆です。個人的には六角形の方が好きなのですが、たまにはこういうのもいいでしょう。左利きの人が使うとうずまき構造が逆に働いてしまい、使いにくそうなのが残念なところ。

おみやげ屋さんで買った鉛筆

 おみやげ屋さんで買った鉛筆です。木の皮までそのまんま、自然素材満開。都合良く節が手のツボを心地よく刺激する位置にあったり、転がり防止の役目にもなったりと、偶然が重なり幸運な1本。太めでボコボコした触感は慣れが必要なところなのですが、緩やかにカーブした軸がまた良かったりもして、まっすぐな筆記具ばかりを使ってると斬新さを感じることさえあります。

 塗装された鉛筆とはまた違った魅力を持つウッドカラーの鉛筆。グリップ感や高級鉛筆のような上質な書き味を求めるとやや辛いところはあるものの、「鉛筆よりも、もっと木に近い鉛筆」としてのさらさらした触感は使っていても時間を忘れてしまうほどです。鉛筆1本1本は同じように見えても、1本として同じ木目はなし。考え方によっては意外なほどにプレミアムなものなのです。

 「木物語」で約3.5g、太軸の「2630N」でも約8g。もともと軽い鉛筆が、削るたびに羽が生えたように軽くなっていく…鉛筆にはそんな楽しみ方もあるような気がします。

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