コレクションとは別の次元で、低価格で実用性のある文房具を手軽な趣味とする人には女性が多いらしく、メーカーさんとしてもここ数年は女性…というよりも女の子向けに、プチオシャレな方向性で製品開発を進めているように思えます。その結果、シャープペン売り場もすっかり女性上位時代でプチオシャレなクリアカラーに染まってしまい、肩身の狭い思いで低価格なプチオシャレなシャープペンを使うか、サイフの中身と相談して製図用シャープペン路線に走るかという選択を余儀なくされている中学生男子もきっと少なくはないハズです。
そういう女の子向けデザインの文房具にも、いろいろとおもしろい製品があるので嫌いにはなれないのですが、そればっかりになってしまうのはさすがに困りもの。というわけで、今回は時代の流れとは逆行するつもりで男を感じさせるシャープペンを紹介してみようと思います。男とは言っても黒光りするオヤジのことではなく、あくまで中学生男子の気分で。書いてる人はまだ若いので、いい年して「男の文房具」とか言ってるオヤジの気持ちなんて知ったことではないのです。
パイロット「2020」(1000円)。重さ約15g。初代2020と言うとわかりやすいのでしょうか。ペン先から直線的に張り出したグリップが特徴で、青い樹脂パーツ、金属軸、黒いロゴの3色でびしっとしてます。色設計の自由度が増した今だからこそ、少ない色でシンプルなデザインがいっそうすがすがしく見えます。わざとらしいくらいのすがすがしさと、2020機能はちょっと好みが分かれるところかもしれません。ロゴのフォントにも今とは違った70年代の未来感。まだまだ現役のシャープペンとして製造が続けられているようです。
(追記 : 製造中止が決定してしまったそうです。気になる方はお早めに。)
ロットリング「rapid」(500円)。現在販売されてるシャープペンではただ1つ、ダブルノックと3.8mmの回転繰り出し式消しゴムを同時に備えています。重さは約13gと、シャープペンでは中量級というところ。細くても機能的、そして筋肉質。細めでも男のシャープペンとして重要なポイントを見事に備えていて、少々クセがあるラバー、ダブルノックの宿命とされるペン先のガタ付きを持ってしても魅力的な1本です。ロゴはあんまり男っぽく見えませんが、使ってるうちに削れていくので大した問題ではありません。そう、男は筆記具の傷なんて気にしてはいけないのです。
パイロット「ジムノ」(1000円)。ロゴは「G」ですが、英語表記は「Jimno」らしいです。何となく「G」を入れてみたかったのでしょうか?そのあたりではぺんてるの「5」と似たものを感じますね。ハードで安定感のあるラバーグリップ、口金と同化したパイプ、つや消しのクリップ、0.5mm、0.7mm、0.9mmと選べる3芯径など、ただゴツイだけではないのがすごいところ。重さは約16gとやや重めで、大きめのクリップが手に当たって気になるところもありますが、慣れると心地良いです。
オート「V-GRIPPER」(700円)。約27gの重量感は見た目通り。ドクターグリップをさらに重くして、どこか間違った方向性で進化させたようにも見えるという、二番煎じの割には意欲的な1本です。分解してみるとキャップにゴムリングが付いてたり、グリップの中にスプリングが入ってたりと、いかにもオートっぽいメカメカしさが男心を刺激させますが、見た目の割にスライドパイプになってるのはちょっと軟弱な感じもします。どちらかというと、ニードルポイントボールペンの方がメカメカしくて好みかな。
お手頃価格で重厚感。名付けるとするなら「太軸プレミアム」。そんな基準で選んだ4本でしたが、1000円、500円、1000円、700円と、中学生男子にとってはサイフの中身と相談になってしまうのは変わらずという結論となってしまいました。個人的にこのテのシャープペンはあまりに露骨でゴツイ見た目なので避けてた部分もあったのですが、製図用シャープペンの緻密さとはまた違った豪快さがおもしろくて、細軸派としても「こういうのもいいよなぁ」と良さを再認識してるところだったりします。
学生のみなさん、ドクターグリップの次にこういうのはいかがでしょう?