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□ シャープペンの各部名称(後編)

□ 6. グリップ(握り)

 3本の指で支える部分。要するに持つ部分です。太さと素材の組み合わせが使い方を大きく左右するので、製造メーカーは今も昔もこれでもかというくらいのこだわりを見せてます。みなさんもご存じのように、工夫をこらしたものからそっけないものまでいろいろな製品が発売されているわけで、今となってはキャップや軸を押しのけて個性を主張するシャープペンの顔と言ってしまってもいいのではないでしょうか。

 メーカーさんとしては柔らかく、太めで、三角形のものが書きやすいグリップの定義と思わせたいみたいですが、人によって持ち方も異なれば手の形、大きさ、筆圧、汗などさまざまな部分で異なるため、そこまで画一的には収まらないのが現実です。本当に使いやすいシャープペンはメーカーさんが作ってくれるものでも、誰かに教えてもらうものでもありません。使いやすいシャープペンを求めていろいろな製品を試してみるのは良いと思いますが、当然ながら希少価値や人気と自分にとっての使いやすさは必ずしも比例しません。あくまで周りの情報に惑わされすぎないように。本当の意味で自分にとって最も使いやすいシャープペンは自分の利き手のみが知るのです。

□ 7. 軸(バレル、ボディ、胴軸、本体)

 先端部とキャップの間をつなぐ長い部分です。例えるならシャープペンの体というところでしょうか。グリップと比べると話題に上がることは少ないですが、グリップと同じく直接手が触れる部分なので、素材や形状が使い心地にも少なからず影響してきます。広い部分なのでいろいろな形状、素材、配色が工夫されていて、名入れや装飾の対象となることも多いです。デザインや全体重量にも大きく関わってくる部分ですね。日本の低価格シャープペンも透明樹脂ばっかりではなく、もうちょっと軸素材に凝ってもいいんじゃないのかなぁ?

□ 8. 芯タンク(内サヤ、芯室、内軸)

 チャック、リング、スプリングが連なったユニットに接続され、芯が収納されている筒状の部分です。芯を収納するだけではなく、ノックの圧力をチャックまで伝えるための運動系に関わるパーツでもあります。広いと多くの芯を収納することができますが、芯を入れすぎると内部で詰まりやすくなってしまうので、安定性を考えると単機能のシャープペンでは3〜5本、多機能ペン付属のシャープペンでは1〜2本が適切と言われているようです。

□ 9. クリップ(挟み)

 シャープペンの上部に備え付けられたもので、主に衣服のポケットや書類に挟むために使います。耐久性に優れる金属のものと、衣服に差しやすい樹脂のものがあり、最近ではバネクリップ状になっていて、厚い物にも挟みやすくなったものも登場してます。実際は使わない人も多いためか装飾的な意味合いも強く、筆記を重要視した一部のシャープペンには取り外せるものもあり、クリップを取り外すことで筆記の邪魔にならないだけではなく、本体を軽く、重心を前寄りにできるという効果もあります。

 クリップを外すのは良いことずくめのように見えますが、長年慣れ親しんでるシャープペンの姿はクリップ付きのものなので、いざクリップを外してしまうとどこか寂しい気持ちになってしまうのも確かです。学生の時は「ほとんど誰も使わない上に邪魔なクリップがいつまでたってもなくならないのはメーカーのエゴイズムだ!」なんて過激な思想を抱いてたものですが、今思うと案外そうでもないのかもしれません。

□ 10. 消しゴム

 シャープペンの付加機能の1つで、一般的には芯タンクと接続されたパーツの中に入ってることが多いです。そのことから消しゴムを外すことで芯を補充する構造になっているシャープペンが多く、栓としての役割も果たします。

 大きな消しゴムと比べると面積が小さい上に硬く、ノックのクッションが働く分消しにくいので、あくまで非常用として考えるのが良いでしょう。中には消すことに重点を置いて回転繰り出し式消しゴムを装備したシャープペンもありますが、ラバーグリップ全盛期になってしまってからは太軸のものが多く、手帳のペンホルダーに挟める人にとってはかなり選択肢が狭まってしまいました。昔は軸も消しゴムもお手頃な太さで、ラバーグリップも付いてなくて手帳のペンホルダーにするするっと入るいいシャープペンがあったのにねぇ…と思っている人はこの文章を書いてる人だけではないと信じてます。

 シャープペンの種類によっても消しゴムのサイズ、長さはそれぞれ異なるので、使い切ってしまった時の交換用の消しゴムはメーカー、販売店までお問い合わせいただくと正確な回答が得られると思います。ノック式消しゴムのように大まかな互換性があるようですが、そのあたりは後々のお楽しみということでいいでしょうか?

□ 11. キャップ(ノックキャップ、ノックカバー、消しゴムカバー、蓋)

 消しゴムがないシャープペンでは芯が飛び出さないための栓として、消しゴム付きのシャープペンでは消しゴムの劣化を防ぐ役割として、キャップが付いているシャープペンがほとんどではないかと思います。ノック時に直接手に触れる部分なので、指の圧力を分散する工夫があってもいいかなとは思うのですが、最近は似たり寄ったりのデザインが多くなってしまい、キャップの個性的なスタイリングが好きな者としては寂しい限りです。上から見た時には最も視野に入る部分なので、製図用シャープペンの多くや一部の筆記用シャープペンでは真上に芯径を表示して区別する役割も担います。

 樹脂キャップはメーカーによってサイズも組み合わせる方法もけっこうまちまちですが、金属キャップは一部のサイズが統一されているため、ものによっては組み替えも可能となってます。一部製図用シャープペンでは先端部と同様に単品販売されているものもありますので、詳しくはメーカー、販売店までお問い合わせください。

□ 12. 濃さ表示部(インジケーター)

 芯の濃さを表示するダイヤル状のもので、回転すると濃さ表示を切り替えることができるので多くの芯径を取り扱う場合に便利です。製図用シャープペンに装備されていることが多く、軸に固定されているものとキャップに付いているものがあります。キャップに付いていた方が芯径と濃さを同時に確認できる上に、キャップを回転して読むこともできるので実用的とも言えますが、キャップの回転具合によって対称的なスタイリングが損なわれてしまうことを好まない人もいるため、軸に固定されているものを支持する人もいます。なお、濃さ表示部は表示するだけの役割のため、ダイヤルをHBからBに回すことで濃さが瞬時に切り替わるようなことは残念ながらありません。どこかにそんな魔法があるとうれしいんですけどね。

□ 13. ニードル(針)

 芯が詰まった時にパイプの中に入れて、中に詰まった芯を簡易的に取り除くためのものです。消しゴムに付いている場合がほとんどで、省略されていることも多いです。実際めったに使わないので、消しゴムと同様あってもなくてもいいような非常用の存在なのですが、先端部を分解するよりも楽に芯詰まりを解消できるため、先端部が分解できない時など場合によっては役に立つ存在とも言えるでしょう。いや、基本がメカ好きなもので詰まったら分解してしまうことの方が多いんですけどね。

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