今回は誰もが知ってる青・白・黒。トンボ鉛筆「MONO」の足跡をたどってみます。
時代はさかのぼり1952年。HOMO鉛筆「4612」の1ダースに付属していた消しゴムがトンボ鉛筆マークが付いた消しゴムの始まりだったそうです。HOMO鉛筆なのでHOMO消しゴム。今となってはわかりやすいというよりは誤解されやすいネーミングになってしまいましたが、もちろんみなさんがよく想像されるアレではなく、ホモ牛乳とかホモ・サピエンスあたりを思い浮かべるとわかりやすいでしょう。
名前はアレですが中身は正統派のゴム消しゴム。天然ゴムタイプなので現在のMONO消しゴムと比べると消した時の抵抗感が強く、硬い感じ。スパッと消えてくれるプラスチック消しゴムがまだ存在してなかった頃の話なので、当時としては標準的な消しゴムだったのでしょう。表面にはぐるっとビニールが巻いてあって、消しゴムの表面には「HOMO」「Tombow PENCILS」。裏面にはJISマークと「HIGH CLASS」「MADE BY SEED」という文字がゴム面にしっかり印刷されてます。メーカーロゴも今とは違ったレトロな威圧感を感じます。
そして時は経て1967年。当時新発売の鉛筆「MONO 100」の1ダースに付属していた消しゴムが白黒ケースのプラスチック消しゴムでした。型番は「PE-05P」。今度は消した感じは現在の「MONO」消しゴムに近い感じで、みなさんにもなじみ深いプラスチック消しゴムです。
パズルのように組み合わさったケースのおもしろさが目立つところとは思いますが、実は中身もプラスチック消しゴムと砂消しが2:1と、現代の感覚で考えてもめずらしい組み合わせのツインタイプになってます。砂消しの寸法が少々大きめになっていてくびれたように見えるのもねらったところなのでしょうか。HOMO鉛筆「4612」付属の消しゴム同様、鉛筆のオマケ的な存在で、鉛筆を1ダースで買った人だけの特典だったのです。
史上初のプラスチック消しゴムとまではいかなかったものの、この消しゴムの実力が評判を呼び、数多くのラブコールに応えるような形で、2年後の1969年に消しゴムだけの単体販売となったという話は知る人も多いでしょう。この時に現在多くの消しゴムで目にするような紙巻きケースが採用され、青・白・青の3本ラインに。消しゴムだけの、消しゴムが主役のMONOがついにデビューしたのです。
その後、3本ラインがおなじみ青・白・黒というカラーリングになり、その後もトンボマークの変更、消しゴム本体への印刷が省略、ロゴの形や文字間隔の調整、ケースに切れ込みが入る、3色ラインの白い部分が広くなる、ブルーがだんだん濃くなるなど、型番は変わらずの「PE-01A」を並べてみても、時代に合わせて少しずつ細かなマイナーチェンジが行われてることがわかります。気が付かないうちに変わってたりするので、今は何世代目なのかはというのはわからないのですが、こうして並べてみると間違い探しみたいですね。
「RE-01」というレトロタイプもありました。天然ゴムタイプで60円。見た目は古いですが、手元の資料によると1969年以前の消しゴム単品発売はなかったようなので、もしかすると見た目よりも新しい存在になるのかもしれません。紙ケースのMONOより前なのか後なのか、それとも同時デビューなのか、詳しいところをご存じの方はおたよりまで情報をお寄せいただけるとうれしいです。