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□ オート「SP-10RW」

 おみやげ屋さん風味の木軸シャープペン。直球勝負です。

オート「SP-10RW」

 よくある事務用シャープペンやボールペンの自称環境素材の樹脂+ラバーグリップとは明らかに一線を画する製品として、存在感のある木軸を採用した製品があります。ピュアモルト、ジャストミート、S20…同じ木軸でも触り心地にはそれぞれ違いがあって、自然な触感を求めてついいろいろと手を出してしまう人も多いのではないでしょうか。そうした中でひっそりと発売されているのが今回の「SP-10RW」です。

ROSEWOODの刻印

 オートの木軸シャープペンといえば、「APS-200」「APS-280」などの鉛筆型シリーズが有名なところですが、こちらは金具にも「ROSEWOOD」と刻印されているように天然のローズウッドを使用しているのが持ち味で、同じ木軸でもだいぶ毛色の違った存在感があります。この存在感で定価1000円(税抜)。オートさんがんばってるじゃありませんか。

 見た目はちょっと太めの直線的ですっきりしたクラシカルなデザイン。重さは約26gと、太くて重い「Dr.GRIP」と比べてもずっしりした重みがあるので扱いには少々慣れが必要かもしれません。重い割に重心は中心よりもやや前くらいで振り回される感じは少ないながらも、やはりこのくらいの重さになってくるとそう思い通りには動いてくれません。それはそれで1つの存在感として重さを生かす筆記方法を考えるとしても、もう少しだけ気軽に使える軽めの1本があればうれしいところです。

クリップ キャップ、消しゴム

 オート製シャープペンにありがちなノック時のひっかかりはさほど気になりませんでした。どちらかというと1ノックで出る芯の量の多さがやや気になるところでしたが、個人基準としてはOKライン。1ノックで芯を多く出したいのか、ノック回数で細かく調整したいのかという好みによっても違うところでしょう。先端部分だけわずかに円錐状になったパイプもオートらしさがあって好みです。

先端部

 表面はヌメッとしていて、さらにズッシリ重い…と、ずいぶんと敷居の高い1000円シャープですが、使い込んでいくことで違った表情を見せながらなじんでいく木軸の味という点ではしっかりしてます。個人的にも買ってから魅力がわかるまで非常に時間のかかった1本。石の上…いや「ROSEWOOD」の上にも3年だ!という感じの気長さが必要なのかもしれません。

分解

 姉妹品の油性ボールペン「NBP-10RW」も魅力的な製品で、純正のニードルポイント「87NP」の他に三菱鉛筆製パワータンクリフィル「SJP7」「SJP10」も入るという優れもの。しかし、こっちは重心がけっこう後寄りなのでシャープペン以上におすすめしにくいのが現状です。とんがった個性やキャラクターがわかりやすいのはオート製品の良いところではありますが、民芸品ではなく文房具なんですから、使いやすさとしても、そしてデザイン的にも、もうひとがんばりあってもいいように感じます。

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