いくら冷静さを装っても人間ですもの。好き嫌いはあります。
サクラクレパス「GMAX」。太めの三角グリップでとことん苦手を突いた1本。まるまると太らせて回転繰り出し式消しゴムを付けた「NOCKS (NS100K)」のようなイメージでいいと思います。グリップを回転させることで位置の微調整も可能で、ほど良いくらいの前重心。太めの三角グリップが好きな人にとってはけっこう優れもののように思えるのですが、これが全然合いませんでした。鉛筆慣れした人にとって、持つ位置を決められるような感覚はつらいものがあります。
(※ファーバーカステル「GRIP PLUS」と口金、中身を交換することで0.7mm化が可能です。)
ゼブラ「THERMO-α」。思い切ったトライアングルには潔さも覚えるほど。キン肉マン消しゴムのような触感のグリップはトルマリン配合ということで、そこから発する遠赤外線との組み合わせで疲れにくいというのがアピールポイント。がんばって使ってはみたものの、このはじけまくった形のせいなのか素材の効き目を全くと言っていいほど実感できませんでした。今のゼブラはこういう根拠の怪しい健康路線から脱却してるようですが、どうせまたいつかはやるでしょう。新素材をいろいろ考えてくれるのはうれしいんですけどね。
ぺんてる「jCLUB」。「GMAX」とは逆に三角グリップをへこませたタイプ。ドクターグリップのような凹型のグリップか、それともフィットカーブのような凸型が良いかは賛否両論あるところとは思いますが、三角グリップに関してはステッドラー「triplus micro」のような細く、直線的なデザインが気分的には一番楽です。透明樹脂が幅を利かせてる中、少しラメが入った濃いグリーン。色だけなら「GRIP PLUS」っぽいヨーロピアン風味で好きなんですけど、う〜ん。
ラミー「AL-Star」。同じ三角グリップの「safari」は大丈夫なのにこっちはどうにもなじめずNGでした。値段や評価が高いとか、デザイナーが有名とか、デザイナーはやたら三角軸を作りたがるとか、そんなのは書き心地には関係しません。ちょっとした形の違い、素材の違いでも好き嫌いが分かれてしまうのが筆記具の難しさ。「書きやすい文房具は自分で見つけるしかない」と改めて実感させてくれた反面教師的な1本でもあります。グリップだけが透明になった軸デザインがきれいなだけに、「この三角グリップさえなければ!」と、惜しい想いでいっぱいです。
(※シャープペンは手放してしまったので、写真はボールペンです。)
良品計画「ラバーシャープペン」。無印らしくすっきりしたラバーシャープです。しかし、この製品の持ち味でもあるラバーの触感が耐えられませんでした。柔らかく粘っこいラバーグリップとストレートですっきりした軸デザインにより、机を転がすとじゅうたんに使うコロコロのごとくホコリを吸い取ってくれます。なにせ基本的におおざっぱなもので、撮影時以外にラバーグリップに付くホコリが気になることはまずなかったのですが、これは例外。ダークグレーなので余計気になるんです。
なじめなくて手放してるものも多い中、道具としては使いにくく、なじめなかったはずのシャープペンがなぜ手放しも捨てもせずにここに残ってるのか?考えてみると不思議なもので、なじめなかったとは言ってもきっと心のどこかに好きな部分があるから手放せない。そんな気がします。
全ての人が使いやすく、書きやすく、疲れないシャープペンを作るのは難しい、というか不可能ではないかと思ってます。だからこそある特定の層をねらった何かに突き抜けた製品が各社から発売されるのであって、それぞれ違った使い心地のツボがあるからまた楽しいんです。例え合わなくても、そういった経験がより使いやすいものを見つけるための手がかりの1つに。実際に使ってみて、自分の好みがいかに曖昧なものかと実感させられることもいまだに多いです。なにせ生き物ですので時間や成長、趣味趣向とともに使用感や好みも変わっていくのは避けられないこと。今回の5本も今はなじめなくても、10年後、20年後は違ってるのかもしれませんね。