回転繰り出し式消しゴム付きシャープペンにも、もう少し軽量級があってもいいと思います。
「太軸=書きやすい」という流行がメーカーによって作り出され、浸透してしまったせいなのか、いつのまにか姿を消してしまった文房具の1つに細軸の回転繰り出し式消しゴム付きシャープペンがあります。軸の内部に大きくて長く、扱いやすい消しゴムが入っているのはもちろんのこと、大きく長い消しゴムが入ってる割に細身で、ラバーグリップが付いてないので手帳のペンホルダーにも抵抗なしにスッと入るのがいいところ。シャープペンと消しゴムを持ち歩くよりも楽で、持ち運びに便利。1本だけでもかなりの用が足りる便利さを一度知ってしまうと手放せなくなります。以前に三菱鉛筆製「E-SHARP」を長いこと愛用してましたが、最近の回転繰り出し式消しゴム付きシャープペンといえば太いのばかり。なぜこういう軽快な使い心地を持った新製品がなくなってしまったのか、以前からずっと残念でならない想いを抱いてました。
そんな中、100円ショップにて2本100円で売られていたのがぺんてる製「MADE IN USA.」モデルの「QE405」でした。軸直径は消しゴムが入ってる太い部分でも約9mm。持つ部分に至っては約8mmとオマケして鉛筆並と言えるくらいまで細くなってます。消しゴムを外側から支える多くの他社製品とは異なり、消しゴムに凸状のジョイントを付けて、それをつかむような形で支えてるため機構上からもやや細くできるのがぺんてる式というところ。さらに金属クリップを使わないことで消しゴムが入ってるにも関わらず約8gと、普通のシャープペンとしてもかなりの軽量設計となってます。
ところでこの形、どこかで見覚えのあるぞと思った人も多いでしょう。製造中止になってしまった回転繰り出し式消しゴムのベストセラー、ぺんてる「Gomdale」のそっくりさんでした。今でも愛好者が多いと言われる「Gomdale」の単色でシンプルな色合いもさることながら、クリアカラーの透明樹脂に金リングという合わせ技も国内ではあまり見かけないデザインで捨てがたい感じがします。消しゴムはぺんてる独自規格のジョイントが付いたものとなっていて、「TUFF」「SIDE FX」と同じ「XE10」が使えるので、消しゴムの補充も安心です。
消しゴムが入ってる分、重心は後寄りなので少々ふらつく感じがあり、サラサラした樹脂のグリップは人によってはやや滑ると感じるかもしれません。とは言っても、そのあたりは軽さと細さ、ペンホルダーにスッと入る利便性でカバーしてると思ってもいいでしょう。それよりも残念なところは何かに引っかかってるかのような、いかにも2本100円というノック感で、「Gomdale」の固いながらもなめらかで心地良い、ぺんてるらしいノック感にはとても及びませんでした。快適に使うためには少々の加工が必要になるかもしれません。分解してチャックを比べてみると「Gomdale」よりやや大きめのアメリカンサイズ。そのあたりの工作精度も影響してるのかもしれませんね。
ただ、そういった欠点を持ってしても、ペンホルダーに楽に入る細軸で10g以下の軽量設計、回転繰り出し式消しゴム付き、安定感のある固定パイプという点では、現在文房具店で販売されている製品で代わりになるようなものは見つかりません。太軸グリップが付いたいわゆる書きやすい系で重装備の回転繰り出し式消しゴム付きシャープペンが悪いとは言いませんが、太くて書きやすい(とされている)ものだけが筆記具ではないでしょう。ペンホルダーに収納して持ち運ぶことは決して希な用途ではないので、いつか近い将来、どこかのメーカーがこういった持ち運ぶ用途にもちゃんと目を向けてくれることを祈ってます。
現在では一部100円ショップで販売されているようですが、海の向こうでも「It is currently out of production.」ということで、100円ショップの店頭からなくなるのも時間の問題ではないかと思います。2本100円とは言わずしっかり販売してもらえるとうれしいんですけどね。