どう見てもシェーバーの柄にしか見えないんですが、カッターなんです。
住友3M「Scotch ペーパーカッター」(600円)。紙を本体のスキマにはさめて押し進んでいくことで紙が切れるというお手軽アイテムとして発売中の製品です。カッターというよりもはさみとカッターの間のような感覚で、はさみの刃を開いたままスーッと押し進んでいくイメージを思い浮かべるとわかりやすいと思います。ちょっとした雑誌の切り抜きやお菓子の封がなかなか切れない時などに。はさみよりも軽量、コンパクトで、カッターマットもいらないので持ち運びには便利です。
見た目がシェーバーの柄だけあってグリップ感はしっかり。コツとしては押し込む時に少し寝かせるようにすると気持ちよく切り抜くことができます。刃はカバーされているので子どもが使っても安心、安全な設計になってるところも持ち味の1つ。ただ、そのカバーのせいで刃の周りが見えにくい面もあり、細かいコントロールは難しいところ。用紙をはさみ込む力が強いので新聞のような薄い紙も苦手な印象があり、おおざっぱな直線カット向けというところでしょう。
シェーバーの柄は嫌だぞ!という人に「CLIPPING CUTTER」というのがありました。同じように紙をはさみ込んで切るタイプで、パッケージには「NEWS PAPER」なんて書いてるので新聞紙の切り抜き用として作られた製品なのでしょう。見た目はアルミ軸でねじ込み式キャップとなかなかの高級感。シンプルな見た目なのでグリップ感に関しては少々見劣りするものの、刃の真ん中が空洞になってるので切ってる位置を確認しながら押し進められるのがいいところ。はさみ込む力も「Scotch ペーパーカッター」よりは弱めでコントロールしやすく、直線はもちろん苦手な曲線も意外ときれいに切り抜いてくれます。
もう1ついいところとして、先がとがってるので紙の途中からでも突き刺して押し進めることができるという小技があります。安全設計ではありませんがそこはしっかりとキャップでカバーするのが大人なのでしょう。紙が入るスキマが狭く、厚手の紙を切ると無理がかかりやすいところからも大人の使いこなしが必要な道具のように感じます。
クリアブルーがきれいな「HASAMAN」です。東急ハンズに売ってました。「Scotch ペーパーカッター」「CLIPPING CUTTER」と同じく刃の交換はできませんが、中央のネジで刃をスライドさせて位置を変えることで刃を長く使えるようになってます。上の2つと違うのは上下の樹脂パーツで紙を支える構造になっていて、押し進める時に紙が凹面状に反らないため安定感があります。直線の切れ味としては今回の中で最も好印象でした。しかしその反面、カーブはかなりの苦手です。
切る時に紙が凹面状に反らないということは、長く切り進めると左右の紙が邪魔になってくるという難点の裏返しにもなるので、はさみで長い距離を切り進んでいくような感覚で自分で紙を反らせるなど慣れが必要なところかもしれません。「Scotch ペーパーカッター」と同様、上からは刃の位置が見えずつかみにくそうな印象がありましたが、そこは本体の薄さでうまくカバーしてます。
使い比べてみたところでは直線カットの気持ち良さなら「Scotch ペーパーカッター」、コントロールを利かせるなら「CLIPPING CUTTER」、切れ味と安定感なら「HASAMAN」という印象でした。そうは言っても1つで全てをこなせるオールマイティな道具ではないわけで、曲線を切るならはさみを持ち歩いた方がいいですし、正確さを期待するなら定規+カッター+カッターマットの3点セットには太刀打ちできません。カッターマットいらずで、はさみより小さく持ち歩きやすい。はさみとカッターの間に存在するちょっとした切り抜きに…という中途半端な存在なだけにかなり用途が限られてしまいますが、あまり考えずにどんどん切り進んでいけるので、これはこれで気持ちのいい文房具の1つのような気がします。とはいえ、使い捨て設計はちょっと問題あるよなぁ…。